something more precious
03
「エチゼン国のリョーマ姫だっけ?テヅカにあんなこと言う姫初めて見たよ。」
「俺も〜。他の姫たちはどうやったら自分をよく見せれるのかとかしか考えてないからにゃ〜。」
「そうだね。皇后陛下の話だと彼女の過去に何かありそうだね。」
「話してくれるかにゃ〜?」
「話してもらわないとね。お世話係りを任されたんだから。」
シュウスケとエイジは話をしながらリョーマの部屋の前まで行き、エイジがノックをしようとしたところで、シュウスケが
突然その手を止めた。
「待ってエイジ。」
「えっ?にゃに?」
「しっ!黙って。・・・・・・・・中から泣き声が聞こえる。」
「泣き声?!」
「しっ!!」
大声を上げそうになるエイジを黙らして、2人はそっとドアに近づいて耳を澄ませた。
「・・・・っ・・・・っ・・・・・父様・・・・・母様・・・・・・・なんでっ・・・・・・どうしてっ・・・・・・・・っ・・・・・・あの人の妻にはなり
たくないっ!!」
リョーマの悲痛な叫びを聞いた2人はしばらく顔を見合わせ、お互いに頷き、リョーマの部屋のドアをたたいた。
息を呑むような声を聞いてからしばらくして扉が開いた。
「誰?」
全く関係ない人が見ても泣いていたとわかるぐらい目を赤くして怪訝そうな顔をしてリョーマが出てきた、出てきたと
言ってもほんの少しドアから顔を覗かせただけだが。
そんなリョーマに全く気にしませんと言う風にシュウスケとエイジは笑顔であいさつとなぜ自分たちがここに着たのか
説明をした。
「はじめまして。エチゼン王国の姫、リョーマ様。僕はフジ・シュウスケと申します。」
「はじめまして〜。俺はキクマル・エイジです!よろしく!」
「僕たちは姫のお世話を皇后陛下より任されました。」
「俺たちにできることはなんでもするので、なんでも言って下さいね。」
「・・・・・・お世話係り・・・・・・・・?」
「そうですよ。」
リョーマの確認のような言葉にシュウスケが肯定の返事を返した。
ふと、エイジが疑問に思ったことをリョーマに尋ねた。
「あっ、そうだ。姫、さっきなんで泣いてたんですか〜?」
「!!!!」
「エイジ!!!!」
「えっ?あ、ダメだった?」
「ダメに決まってるでしょ。姫、申し訳ありませんでした。・・・・・・・・・姫?」
「ごめんなさい〜!!・・・・・・・・姫?」
何も反応を返さないリョーマを不信に思い、リョーマの顔を見ると、驚嘆に開かれた大きな瞳がしだいに怒りへと変え
ていった。
「お前たちには関係ないっ!!!!!なぜ初対面のやつに話さないといけないんだっ!!!今すぐこの場から去
れ!!!!お世話係りなんてのもいらないっ!!!!!!」
思いっきり怒鳴ると力任せにドアを勢いよくバタンッと閉めて部屋へと入って行ってしまった。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
目の前で勢いよくドアを閉められた2人は、その場でしばらく固まっていたが、しばらくして意識を取り戻した。
「・・・・・・・怒られちゃったにゃ・・・・・・・」
「エイジがよけいなこと言うからだよ。」
「う〜。反省してます〜。」
「今日はダメだから明日一緒に行くから謝ろ。」
「うん。話聞いてくれるかにゃ〜?」
「きっと聞いてくれるよ。」
「そうだよにゃ!」
「それにしても、傷は深そうだね。何があったんだろうね。」
「教えてくれるかなぁ〜。」
「長期戦覚悟で頑張るしかないね。」
「よぉ〜し、頑張るぞー!!」
そんなことを言いながら自分たちの部屋へ帰って行った。
次の日
シュウスケとエイジは昨日行っていた通り、リョーマに謝るためにリョーマの部屋へ向かっていた。
もう少しで部屋というところで、ふいにリョーマの部屋の扉が開いて中からリョーマが出てきた。
「あ―――――!!!」
急に聞こえてきた大声にリョーマはビクッと肩を一瞬震わし、声がした方向へ顔を向けた。そこには、昨日自分の部
屋へやってきて自分が怒って追い返した2人がいた。
「あっ。」
「姫!!!昨日は本当ごめんなさい!!俺が無神経だったにゃー!!!!」
「(にゃ?)あっ、いや、俺も急に怒鳴ったりして悪かったっす。パニクっちゃって・・・・。」
「許してくれるんですか?」
「許すもなにも、俺も悪かったっすから・・・。」
「ありがとうございます!!フジー!!許してくれたよー!!」
「はいはい、よかったね。では、姫。お世話係りの件も承諾していただけるんですね。」
「いいけど、俺そういう固いのあんまり好きじゃないんだ。だから・・・・。」
「では、立場はお世話係りですが、友人という風に接してもよろしいでしょうか?」
「うん。そっちのほうがいい。あと、敬語と姫って呼ぶのもやめて。」
「じゃあ、リョーちゃんって呼んでいいかな?僕はシュウスケって呼んでね。」
「俺はエイジって呼んでー!!よろしくおちびちゃん!!」
「おちび?」
「うん、おちびって感じだから!ダメ?」
「別にいいけど・・・・。」
「じゃあ、おちびちゃんに決定!!!!」
「はぁ・・・。」

